トランプ政権の郵便投票制限に関する大統領令をめぐる法的手続きが、控訴段階に入った。米連邦政府側の被告は2026年8月28日、マサチューセッツ州の連邦地方裁判所が前日に出した命令を不服として、第1巡回区連邦控訴裁判所に控訴通知を提出した。ただし、控訴が提起されたという事実だけで、USPS規則が直ちに施行されるわけではない。現在確認できる核心は、裁判所による14日間の暫定的な制限命令と、政権側の控訴が同時に進行している点にある。

重要な変化:USPS最終規則の主要条項が14日間停止

インディラ・タルワニ判事は、2026年11月3日以前または同日に実施される選挙を対象に、USPS最終規則の主要条項の施行および執行を14日間停止した。命令の対象は、すべての郵便投票を禁止する措置ではなく、新たな最終規則のうち裁判所が問題視した要件の施行である。

USPSの最終規則は、州・地方の選挙担当者に郵便投票用紙と返信用封筒のデザインについて事前承認を受けさせ、USPSのポータルに有権者情報を入力させるほか、固有のインテリジェント・メール・バーコードなどの要件を満たさない郵便投票物の発送を制限する内容を含んでいる。したがって、裁判所の命令における実質的な争点は、郵便投票そのものの存廃というより、選挙管理機関が新たな封筒やシステム上の要件を定められた時期までに準備し、適用できるかどうかにある。

今回の直接的な変化は、大統領令全体について最終判断が下されたことではなく、USPS最終規則の一部の施行が一時的に停止された点にある。

現在の状態:大統領令の適法性とUSPS規則の施行可否は別の争点

トランプ大統領は2026年3月31日、大統領令14399号に署名した。この命令は、国土安全保障省(DHS)と社会保障局による市民権リストの作成、ならびにUSPSによる郵便投票・不在者投票関連規則の策定を指示した。その後策定されたUSPSの最終規則について、原告側は、連邦政府が州の選挙管理に違憲の要件を課していると主張した。

タルワニ判事は、USPSが選挙関連郵便を規制する権限を議会から委任されているのかについて疑問を呈した。また、最終規則が州政府に違憲の要件を課しているという原告側の主張が、本案審理で認められる可能性があると判断した。これは本案訴訟の最終的な勝敗を確定した判決ではなく、暫定的に施行を制限する必要があるかどうかを判断する手続きである。

先行する事件で、米連邦最高裁判所は2026年8月24日、大統領令に関連する下級審の差し止め命令を、訴えの提起が時期尚早だったという手続き上の理由で停止した。最高裁は、大統領令の適法性を本案で確定していない。したがって、最高裁の決定を大統領令が合法だと判断したもの、あるいは今回のマサチューセッツ州連邦地方裁判所の命令を大統領令全体の無効化と解釈することはできない。

影響:中間選挙の準備日程と選挙管理機関の対応が焦点

裁判記録によると、原告となった州の大半はすでに郵便投票用紙を発注している。一部の州は、2026年中間選挙を前に、早ければ9月初旬から有権者へ郵便投票用紙を発送しなければならないと主張した。新しい封筒、機器、システム、研修を準備する時間が不足しているというのが原告側の説明である。

この日程上の圧力により、14日間という暫定期間も選挙行政にとって大きな意味を持つ。USPS規則が停止されている間、州・地方の選挙担当者は、従来の準備手続きを維持するのか、新たな要件を前提に作業を進めるのか、それとも裁判所や控訴審の結果を待つのかを判断しなければならない。ただし、現時点で確認された事実だけから、各州の最終的な運用方法や2026年中間選挙の結果への影響を断定することはできない。

Reutersの報道によると、USPSは2024年の選挙で約1億通の投票用紙を扱い、州の資料に基づくと、全国の有権者の約30%が郵便投票を利用した。この規模は、関連規則の適用可否が選挙管理機関と郵便処理の過程に直接つながる理由を示している。同時に、裁判所の命令は特定の規則条項を対象としているため、これを郵便投票の全面停止へと拡大解釈してはならない。

次の確認時点:第1巡回区連邦控訴裁判所と9月3日の審理

今後の主な分岐点は2つある。1つ目は、トランプ政権が提出した控訴が、第1巡回区連邦控訴裁判所でどのように扱われるかである。控訴の対象はマサチューセッツ州連邦地方裁判所による8月27日の命令であり、控訴の提起そのものが暫定的な制限命令を自動的に取り消すわけではない。

2つ目は、マサチューセッツ州連邦地方裁判所が、最終規則に対する長期的な予備的差し止め命令の可否を検討する審理を2026年9月3日に設定していることだ。14日間の暫定的な制限命令の後も規則の施行状態が続くのか、範囲が変更されるのか、追加の裁判所措置が出るのかは、この手続きと控訴の進展にかかっている。

読者が確認すべき核心は、「大統領令は最終的に合法なのか」という1つの問いだけではない。USPS最終規則のどの条項が命令の対象なのか、14日間の制限がどの選挙に適用されるのか、第1巡回区連邦控訴裁判所がどのような措置を取るのか、9月3日の審理で長期的な救済が議論されるのかを区別して見なければならない。2026年8月29日時点では、大統領令の最終的な適法性が確定した状態ではなく、USPS最終規則に対する暫定的な制限と政権側の控訴が並行して進んでいる状態である。